商社の能力主義ってどんなもの?

商社の能力主義ってどんなもの?

新人事制度の導入で何が変わったのか?

年功序列要素の強かった職能資格'制度を廃止、実力・能力主義を取り入れる。

職位職責が上がるほど、組織業績が給与に反映。

職群制、バンド制への移行

大手商社では、2000年を前後して人事制度を抜本的に改革、成果主義、能力主義、時価主義等の理念に基づく新人事制度を導入した。その目玉が、従来の職能資格制度を廃止しての「職群制」、「バンド制」などの新しい資格区分への移行である。

職能資格制度では、社員は自動的に昇格していくため、年功要素が強く、資格が同じであれば、部長ではなくとも部長と同じ処遇を受けられる。この制度は右肩上がりの経済成長期には社員のプライドとやる気を高めて機能していたが、バブルの崩壊とデフレ期に入り業績が悪化の一途をたどると、社員の処遇に差をつけないようなやり方は維持できなくなった。そこで、職務職責に応じた処遇、ランクの大括りによる有能な若手の登用を目的に、職群制とバンド制が導入された。

職群制は大括りのグループにまとめて、職群聞の昇格や降格が職務やその職の責任の重さを示す職責に応じて流動的に決まる。それに対して、バンド制は職務職責ごとに細かくバンドを設定し、適正な人材を配置するのが特徴だ。

三井物産が職群制となり、伊藤忠商事がパンド制、丸紅がグレード制と呼ぶバンド制を導入した。三菱商事は大括りの層からなる資格を残して、ほかに職責区分を設けた折衷型の制度を、また住友商事は若手の職能資格制度を残し、副本部長、部長、副部長クラスの管理職に職群制を導入している。

給与区分と人事評価制度

職群やバンドなどの新しい資格は、年俸の基本給(固定給部分)に反映され、各職群や各バンドの中にはさらに細かく固定給の区分が設定されている。

給与区分が同じであれば、同じなのは基本給部分のみで、残りの変動給部分で個人業績や組織業績評価などの成果や能力に基づき格差が広がることになる。

たとえば、年収における固定給と変動給の構成比は、部門長・部長で20%・80%、課長で50%・50%、組織員で70%・30%と、職位職責が上がるほど変動給部分が大きくなる。

また、一般的に変動給部分の中でも、職位職責が上がるほど、個人業績より組織業績の比率が高くなる傾向にある。

人事評価制度では、評価が職群やバンドの中の給与区分の昇格や上位の職群・バンドへの昇格と、変動給部分に反映される。

多くの商社は、組織目標を個人レベルにまで落とし込み、目標管理制度で、定量目標・定性目標を設定、上司は部下との面談を通じて定期的に進捗状況をレビューし、最終評価は個人にフィードバックして次の反省課題として認識させている。こうしたコミュニケーションにより人事評価制度を人材育成のツールとしても活用しているのが最近の流れである。

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